711系 〜赤電車の記憶〜


711系 〜赤電車の記憶〜

「赤電車」と呼ばれ親しまれてきた711系。1968年の函館本線小樽〜滝川間の電化を機にデビューし、北海道の電車の礎となった。

華やかな特急列車や自然豊かな風景をゆくローカル路線に比べ地味な存在だったが、寡黙に地域輸送に徹していた。

711系とは私が学生時代に札幌に住んでいた時からの付き合い。その頃からすでに主力は721系だったが、それでも赤色に纏った車体は輝いていた。

この電車で一番印象的なのが厳冬期に見せる「雪マスク」。781系でも見られたが、電車が高速で走ると雪煙を巻き上げて前面部に雪がこびり付く。

そしてそのまま雪マスクになっていく姿がとてもたくましく見えた。雪と闘う711系の勇姿が私の心を奮い立たせていた。

新型車両への置き換えが発表され、可能な限り沿線へ出向き、最後の運行の日まで撮影し続けた。

最後の列車を乗ろうか沿線で撮ろうかいろいろ悩んだが、私は岩見沢駅のホームで出発を見送ることにした。

ドアが閉まり、長い汽笛が鳴り響くとそれは私の心の奥底にまで伝わってきた。

こみ上げてくる感情をそのままに、夢中でシャッターを切った。711系の出会いに感謝しながら…。


■第一章 711系 〜赤電車の記憶〜 <2012.8〜2014.6撮影>
■第二章 711系 〜赤電車の記憶〜 <2012.1〜2014.2撮影>
■第三章 711系 〜赤電車の記憶〜 <2014.8撮影>
■さよなら711系 〜赤電車の記憶〜 <2015.3撮影>